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環境と経済をつなぐ国際的枠組み: 新たな価値創造へ向けて ISO14007、ISO14008、ISO14052、ISO14053、ISO14097の最新動向セミナー

6月29日(木)当日、会場である東京駅に隣接した関西大学東京センターには、首都圏以外からの参加者も多々あり、MFCAへの関心の高さを感じました。

基調講演は日本MFCAフォーラム 会長、神戸大学大学院 経営学研究科 教授

ISO/TC207/WG8 議長、 國部克彦氏から「CSRから価値創造へ」と題してご講演いただきました。

ステークホルダーを意識した企業のCSR活動が必須の昨今、企業の活動を見える化できるMFCAは、企業がコミュニケーションを図る上でも大変に重要であること。

特に、利益を出すのが大前提の経済活動の中で、環境に影響する費用を見える化し、価値創造へつなげることは、世界規模の環境問題への解決手段でもあると同時に、ISOの環境経済志向にも相まっていること。

社会的価値の経済的評価とその利用について、その効果を感じるためには、政策的な利用のためのデファクトスタンダード化が必須であること等が、過去のCSRの制度化へ至る道のり等も含めて発表されました。

日本MFCAフォーラム 運営委員、法政大学 経営学部 准教授、ISO/TC207/SC1/WG8 エキスパート、北田皓嗣氏は、「 環境コストベネフィット分析は企業経営にとって有効か:ISO 14007, 14008の最新動向」を発表。

主要なISO14007と14008の関係性を解説した後、ISO14007と14008と他の活動の関係性、それぞれの動向と特徴、関連するガイドラインが解説されました。6月にカナダ ハリファックスにて行われたワーキンググループでの国ごとに異なる参加状況の様子なども述べられました。

日本MFCAフォーラム 副会長、関西大学 商学部 教授、ISO/TC207/WG8
エキスパート、中嶌道靖氏は、「価値創造を実現するMFCAアプローチ:ISO 14052, ISO 14053の最新動向」を報告し、ISO14050シリーズの現在、ISO14053の前提とISO14050ファミリーの関係性、カナダ ハリファックス ISO/TC207総会でのワーキンググループ8での作業からISO14053での要点などを解説した後、ISO14050ファミリーとMFCAを活用した価値創造のプロセスが語られました。

日東電工株式会社 品質・環境・安全統括部門 サステナブル推進グループ 課長 西部剛史氏からは、実務者レベルのMFCAへの取組み方や環境管理会計手法としてのMFCAが「価値創造を実現するMFCAアプローチ」として紹介されました。

MFCAを導入することで、あらゆるロスの洗い出しができること、それにより、材料費減、出来高アップが実現できること、社内の異なる部署でも同じ指標で論議でき、現場の経営視点の醸成を実現し、課題の効果と投資回収を定量化できることで、製造の管理指標も設定しやすくなることなどが具体的に社内での実例とともに紹介されました。

今後はグローバルに普及拡大、MFCA簡便手法の確立を目指しているところは、現在のMFCAのあり方と重複する部分でもあり、大変興味深いものでした。

日本MFCAフォーラム事務局長、プロファーム ジャパン株式会社 代表取締役社長、ISO/TC207/WG8 エキスパート、立川博巳氏からは、「気候変動と環境ファイナンス:ISO 14097の最新動向」として、ISO14097の背景にある世界規模の気候変動や、ISO14097策定への流れの概要(ダイベストメントに関する動きや、企業や株主のカーボン・リスク対応への動き、それらを定量化するアセスメント、気候変動に関連した投資及びファイナンス活動に係わるフレーム枠へのニーズ等)が解説されたあと、ISO14097規格の概要とカナダ ハリファックスでのSC7/ワーキンググループ10での様子、2020年のISO発行までの予定等が具体的に紹介されました。

くしくも当日はCDPの各企業の情報提出期限日でもあったことが、立川氏から言及がありましたが、企業のカーボン・リスク対応は機関投資家にとって投資先企業の選定基準になりつつあり、2019年からはCDPも気候変動取組に係る投資家向けの情報開示を予定しているとの情報もあり、今後投資を受ける企業においても、機関投資家における気候変動の取組のスタンダートとなるISO14097の動向は注視が必要ということがよくわかるものでした。

最後の質疑応答では予定時間を上回って熱心な意見交換が行われ、

MFCAの概念が、これから日本からグローバルに展開していく必要性を再認識することができ、 環境と経済をつなぐ国際的枠組みとしての各ISOの重要性と、それらISOの中で、企業活動の定量化におけるMFCAの重要性を再認識させられた一日でした。

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